This article is also available in: English

457d9-img_0597

ウィスコンシン州でずっと行きたかった研究所を訪問することができました。

ウィスコンシン州立大学スタウト校にある、スタウト職業リハビリテーション研究所(Stout Vocational Rehabilitation Institute =SVRI)です。

州最高レベルの知識・イノベーション・サービスを提供する研究所を目指し、障害者の雇用や経済安定のため様々なサポートを行っています。  

fab8c-dsc00668

今回、インタビューに応じてくださったのは、リハビリテーションエンジニアのMeghan Donahue氏(写真左)と、サービスディレクターのBecky Albricht氏(写真右)です。

Meghan氏は生物医学工学を学び、その後、病院で補助技術(障害のある人を助ける機器や技術)を提供するリハビリテーション・エンジニアとして働いていました。

Becky氏は教育学を学び、長年教師として障害のある生徒たちと関わってきました。この夏にSVRIに加わったばかりです。

 

まずは研究所の中を案内していただきました。

 

1. Driving Simulation Lab (運転シュミレーション室)
安全に運転ができる状態かを確認し、実際に運転トレーニングを行う。運転技能試験の準備をすることができる。

2. Assistive Technology Lab(補助技術研究室)
特殊なキーボード、拡大鏡、椅子、ペン、デバイスなど様々な種類の補助技術が保管されている。

  51e1b-img_0558

 

  3. Accessible Apartment Room(アクセシブル・アパート)
自立生活が可能かシミュレーションするための部屋。
キッチン、リビング、バスルーム、ベッドルームそれぞれに障害者の日常生活をアシストする機器が取り付けられており、実際に自分に何が必要か確認できる。  

74d8a-img_0577

4. Fabrication Shop (製造室)
補助技術をさらに個々のニーズに合ったモノにするため、デバイスの改造を行う場所。

da980-img_0581

 

5. Mobility Lab(モビリティ研究室)
足を動かしベダルで移動する車イス、立った状態にできる車イスなど様々な種類の車イスが保管されている。

また座面のどの部分に圧力がかかっているかを確認できるデバイスも設置されている。

84de8-img_0592
SVRIでは以下のようなトレーニングも提供しています。

  • Soft skills training(ソフトスキルトレーニング):社会に出て生活していくために必要なスキルを教える。EX. 資金管理、人的ネットワーキング、課題解決など

 

  • Benefit analysis(給付金に関する分析):仕事による収入と政府から支給される様々な給付金のバランスや置き換えなどを分析する。

 

  • IPS model(IPSモデル):重度精神障害の人たちに向け。仕事に必要とされるスキルを身につけてから仕事へ応募するという通常の流れではなく、まずは仕事に就き、そのあとスキルを身につけていくというトレーニング。

  42aea-svri

ウィスコンシン州の職業リハビリテーション部門(DVR)が、SVRIと雇用主の仲介役となり、これらのサポートを提供しています。

ウィスコンシン州は特にしっかりしたDVRのプログラムを持っており、SVRIをコミュニケーションを取りながら、障害者の就職活動や職場での必要なサポートをすすめています。

これらのサービスの支払いの大部分はDVRによって行われるとのことです。

 

  ab7ad-dsc00666

最後に、障害者の未来に期待することをお2人に伺いました。 Meghan氏のメッセージ  

「障害者のなかには自分で主張する方法を知らない人が多いです。というのも、両親がいつも側にいて、いつも助けてられていたからです。職場においては「私はこういう仕事ができます。より効率よく働くにはこれが必要です」と、自分の思いをきちんと伝えることが大切。同僚や上司がそれに気づき、他の人と同じような”期待”を持ってあなたと一緒に仕事をすることができるでしょう。企業の中には必要な配慮やサポートを提供したいと考えているところもありますが、単純にどうやって提供すればいいか知らないというケースもあります。私たちが提供している補助技術は障害者の能力をさらに広げられるツールです。私自身は今後、成果測定の研究を進めると同時に、補助技術の効果を測定するツールを開発していきます。この結果は今後の教育やアドボカシーにも役立っていくでしょう」

  Becky氏のメッセージ  

「障害のある人も無い人も全く同じ方法で仕事に応募できる未来に期待しています。今は障害の有無を確認するチェックボックスがあり、”はい、車イスを使っています。はい、9000ドル掛かるこの道具が必要です。”など障害の状態や、それによって必要なものを書くところがあります。しかし、これは本来仕事とは直接関係のないことでしょう。重要なのは、”この仕事のどこに興味があるのか?あなたはこの会社でどんなことができるのか?”ということ。SVRIでポジションを募集する際、CraiglistやLinkedInにも求人情報を掲載しますが、”在宅勤務者も応募可能か?” “障害者でも応募可能か?” “インターンシップとしての応募可能か?”を確認するチェックボックスがあります。そのような情報を事前に確認せず選考ができるようになれば本当に素晴らしいです。職場で必要なサポートの確認は、応募者と雇用主が”一番最後に考えること”になってほしいですね。」

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です