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留学時代にお世話になった方からのご紹介で、ミネソタ州セントポールのInteract Centerを訪問しました。
ここにはアートスタジオと演劇(パフォーマンス)をするステージがあり、障害のある方々が自分の特技を生かしながら作品作りをしています。
およそ130名がInteract Centerに登録し、その障害の種類に限定はありません。
ダウン症・聴覚障害者・視覚障害者・精神障害者・車イス利用者など様々な方にお会いし、皆さん笑顔で私を迎えてくれました。
各自のスケジュールに合わせて自由に出入りできるそうで、取材当日は50名ほどの方々が集まっていました。
出来上がったアート作品は絵画としてだけではなく、マグカップなどの多くのグッズ商品になり、Interact Center内とその他の店頭で販売されています。
売り上げの半分が障害者(アーティスト)へ、残りの半分がInteract Centerの運営費になっているそう。
この”運営費”の中には絵を描くための筆や絵の具なども入っているので、障害者が自費で道具を揃える必要はありません。
アメリカにおける障害者就労は、昔に比べると良い環境にはなっています。
しかし、作業所や清掃業など、まだまだ賃金や待遇がよくない環境で仕事をしている人も沢山います。
このInteract Centerでは、アートという自分の特技を活かして収入につなげることができる場所なのです。
今回、Interact Center内を案内してくれたのはアート・インストラクターのDeborah Helmke氏。私と同じ車イスユーザーです。
ヘアスタイリストとして活躍していた彼女は、38歳の時に障害を負い車イス生活に。
「この機会に自分がしたかった事をやろう!」と決意し、4年制の大学で心理学とアートを学びました。
卒業後、メディカル・ソーシャルワーカーとして仕事をしていたところ、Interact Centerの創設者との運命的な出会いを果たします。
障害者と働いた経験があり、絵画を教えられる人を探してると言われ、「その仕事、私できます!」と即答したそうです。
このブログでも何度か紹介していますが、アメリカにはADA(障害を持つアメリカ人法)という法律があります。
Deborah氏が障害者になったと同時期にこの法律が制定されました。
車イスでアクセスできる場所が増え、人の意識も変わり始めていたので、「車イスだから1人で出かけられない」という状況はなかったそう。
しかし、まだ車イスでアクセスできない場所は残っているのは事実。
「ADAって知ってますか?」と彼女から店のオーナーに声をかけて教える事もあるのだとか。
Deborah氏からのメッセージ
アメリカの障害者はもともと発言力があったのではなく、ADAが私たち障害者に発言できる力をくれました。
ADAができてから、障害者は多くのシーンでもっと平等に扱われるようになったのです。
しかし、まだアメリカでも企業イメージのために障害者雇用しているケースはありますし、働ける場所や職種は健常者に比べると少ない現状があります。
障害だけにフォーカスし判断する企業が今後少なくなる事を願います。