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前編の続き・・・
アメリカでは障害者が様々な分野で仕事をしている現状があります。
しかしながら、課題もたくさんあります。
障害者雇用でのよく見られる課題を3つご紹介します。
1. 障害者としてサポートしてもらいたくない障害者
アメリカでは障害があっても一般教育を受けるケースが多い。
その環境から、多くの障害者は自分自身が障害をもっていると感じておらず
OCLのような就労支援サービスを最初から拒否してしまう。
しかし、一旦自分で就職活動をはじめてみると何故かうまくいかない。
誰かに手伝ってほしくはないが、仕事を探す上で何が自分に必要なのか分からないという状態に陥ってしまう。
2. 障害を理由に特別扱いを望む障害者
業界によっては、週末や祝日なども仕事をする必要がある。
雇用主はすべての従業員を平等に扱い、平等に仕事をしてほしい考えている。
従業員は求人に応募する時点で、勤務条件を十分理解しておかなければならない。
しかし障害者のなかには、障害を理由にして週末・祝日に出社できないという人がいる。
職場での自分の責任は低いと考え、他の従業員とはちがう特別待遇を望む人も。
3. 働かなくても良いと考える障害者(家族)
障害者本人が「働きたくない」と考えているケースがある。
またはその家族が、”障害者に働いて欲しくない”と考えているケースもある。
仕事をしなくても資金援助が得られることになっていることが主な理由。
また、仕事を始めてたった数週間で辞めてしまう障害者も少なくないといいます。
彼らがよく言うセリフは「この仕事は僕に向いてないから。」
そんなとき、Lawton氏はいつもこう答えているそう。
たった数週間で、この仕事が自分に合っているかどうか分かる人なんていないよ。
もっと時間をかけて、同僚のこと、上司から期待されていること、職場の環境、自分の今後のキャリアをどうするか・・・もっと沢山のことを見て、考えてからじゃないと。
これは障害者だけでなく、
仕事をすぐ変えてしまう人すべてに言えることではないでしょうか?
これらのアメリカの課題を聞いて、私は日本の障害者にも重なる部分があると感じました。
より良い障害者雇用を実現するためには、
雇用主も、雇用される障害者も変わらなければなりません。
仕事はボランティア活動ではありません。
もし雇用主が私たち障害者に価値を見出せなければ、私たちは仕事を得ることはできません。
その価値を得るためには、ある程度の努力も必要です。
雇用されたあとも、その仕事に対して責任をもって勤めるべきです。
仕事はそのプロセスだけでなく、結果も重要です。
合理的配慮は必要です。
でもそれが合理的な範囲を越えるものであれば、他の従業員にとって迷惑をかけるだけです。
必要以上に障害を何かの理由付けにしてはいけません。
そうでなければ、障害者を見る社会の目はいつまでたっても変わらないと私は考えます。
最後に、Lawton氏からのメッセージをお伝えします。
障害者の就労支援をするとき、一番大切なことは”その人がどんな仕事に興味をもっているか”ということです。
もし車イスに乗っているMizukiが、営業として働きたいと言ったら、私はその理由を聞いた上で、営業職として働けるポジションを探します。
”あなたは車イスに乗っているから、営業ではなくて、この職種の方がオススメですよ”ということは決して言いません。
仕事で成功してもらうためにも、本人の希望を最初からきちんと聞く。それが重要です。
アメリカの企業は、障害者雇用に対してオープンな環境があります。
現在、管理職クラスの大半は、学校で既に障害者と同じクラスで学んでいた人たち。
それより若い世代はもっと障害者への理解があります。
将来、私たちのような就労支援団体がなくても、障害者が普通に仕事が見つけられる社会ができたらいいですね。
それが私の夢でもあります。」