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前編でFiona氏が挙げられていた障害者の抱える3つの課題は、日本でも問題になっています。
日本は法定雇用率を設定しているため、雇用主は決まった数の障害者を採用しなければなりません。
一般の企業で50名以上の従業員がいる場合、その2%は障害者でなければならないという法律です。
しかし、厚生労働省が2015年11月に発表した最新の集計結果では、障害者従業員2%を達成している企業は47.2%だけです。
この数値は毎年徐々に増加傾向ではありますが、半分以上の企業が法律で決められているのも関わらず、必要な人数を採用していない状況にあります。
建物のアクセシビリティは、東京でもまだ十分ではありません。
特に古い建物はまだ不便なところが多く、障害者が仕事を探したり、日常生活で利用する際に大きな壁になっています。
地方となるとさらに状況は悪くなります。
驚くことに、新しい建物でもアクセシビリティが十分でないものも目にします。
総務省が発表した2015年9月のデータによると、65歳以上の人口は全人口の26.7%。
アクセシビリティがきちんと整備されている建物は、ただ障害者だけのためではありません。
今まさに増え続けている高齢者にも便利に使ってもらうことができるのです。
また、最後に出てきた「烙印」ですが、英語で”Stigma”と言います。
実はこの障害者雇用のリサーチを始めるまで、この”Stigma”という言葉を知りませんでした。
というのは、インタビュー相手の方が、障害者の課題としてよく使われるワードで、あまりにも耳にしすぎて覚えてしまいました。
日本でも、健常者・障害者ともに同様の烙印をもっていると感じます。
これは歴史的背景だけでなく、日本で大きな影響力をもっているメディアが、障害者への烙印のイメージを植え付けているからではないでしょうか。
障害者を取り上げたテレビ番組は、障害者の生活がいかに大変かということにフォーカスしています。
もちろん大変な部分もありますが、それが障害者の生活の全てではありません。
障害者の中には、家族や友人に囲まれ幸せな生活をしている人、自分の好きなことに打ち込んでいる人、毎日を楽しく過ごしている人もたくさんいます。
日本で障害者が自立生活をするには、まだたくさんの課題が存在します。
人権として障害者権利の歴史を振り返ったとき、日本は少しずつ状況を改善してきたという経緯があります。
日本には、ホスピタリティ・チームワーク・経済力・技術力など、誇れる文化やリソースがあります。
社会をより良くするためには、これらを上手く活用しながら前進し続けなければなりません。
幸運にも、私たちには素晴らしい国際的イベントが待ち構えています。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックです!
4年後には海外から多くの方々が日本を訪れ、中には障害者も大勢います。
そして、海外の方々は非常に高い期待を持って来日されるでしょう。
日本にいる一人ひとりがまず行動を起こしましょう。
そうすれば、この社会をもっともっと良くすることができるはずです。