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全世界の注目を集めているハイテク企業の1つにアップル社があります。
特にiPhoneが世の中に出てきてからは、幅広い世代がアップル製品に魅了されています。
デザイン性の高い”芸術作品”を手に入れるため、アップルストアに行列ができることはもう珍しいことではありません。
また毎回ステーブ・ジョブス(最近ではティム・クック)が新しい製品を紹介するとなると、世界中のメディアがそのニュースをこぞって取り上げています。
テクノロジーにあまり関心のない私は、何故そんなに多くの人がアップルに注目しているんだろう?と感じていました。
そんな中、アップル本社でSue Booker氏とお会いする機会をいただき、私の疑問も少し答えを発見することができました。
もともとニューヨーク州コーネル大学で建築、ミシガン大学で工業デザインを学んだという彼女。
卒業後はカリフォルニアへ移り、デザイナーとして現在のハイテク業界でキャリアを積んできました。
現在はアップル本社でSiriのアクセシビリティを担当しています。
Sue氏の話のなかで一番驚いたことは、彼女がアップルへ入社した1984年にすでにアクセシビリティのチーム存在していたということ。
当時は小さなチームだったそうですが、彼らが今のアクセシビリティの切り開く先駆者だったことは間違いありません。
私たちは、多くの人にとって使いやすいデザインや建築物とはどんなものかを話し合い、障害者にも平等に利用できる機会があることの重要性について も意見を交わしました。
日本では、毎年新しい建物や新しい商品がたくさん世に出てきます。
中にはスタイリッシュでお洒落なデザインのものもありますが、アクセシビリティについてはあまり考えられていないものも存在するので、すごく残念な気持ちになることがあります。
取材する中で、私の研究テーマである障害者雇用について日本の状況を紹介しました。
日本で障害のある人が仕事に応募する際、障害者手帳のコピーを提出する必要があります。
それによって何名の障害者を雇用しているかを数えることができ、法律決められた人数を雇用しているかを政府に報告できることになっています。
しかし、この法定雇用率がありことで、仕事を探すとき、またキャリアを築くときに様々な課題にもなってしまいます。
この日本の障害者雇用のプロセス、アメリカ人にとってはすごく面白いようです。
というのもアメリカでは障害者手帳というものがなく、障害を雇用主に公開するかどうかは本人が決められる”オプション”の1つです。
ADA(障害のあるアメリカ人法)によって、例え目に見える障害であっても、雇用主が求職者の障害について聞けないことになっています。
日本での障害者雇用プロセスを話すと、Sue氏はとても驚いていました。
障害の内容が直接仕事のパフォーマンスに影響しない場合でも、障害者というだけで就職が困難だという環境が信じられなかったようです。
これまでのブログにも書いている通り、アメリカの一般企業では法定雇用率もなく、
各ポジションに必要とされているスキルや経験、学歴があれば誰でも仕事に応募できます。
しかし、日本の多くの企業では採用をする際に、障害者採用と一般採用(新卒・中途)に分けられています。
ほとんどのケースで、障害者雇用へのポジションは数が極端に限定されており、また多くのスキルを求めていません。
そこから、障害者には低い期待しかないということがはっきりと見えており、本当に不公平な採用方法だと私は感じてます。
はじめから選択肢がほとんどないにも関わらず、その限られたポジションがどんな内容であっても
障害者手帳のコピー提出を求められます。
障害が目に見えないものであれば、敢えて公開しないという手段もありますが、
必要な配慮も依頼しにくい状況を作ってしまい、結局、障害を公開するという人が多くなっています。
後半に続く・・・
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