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皆さん、新しい仕事を探すときどんな方法を使っていますか?
昔からあるのはハローワークですが、今ではネットでもたくさんの仕事情報を検索することができますね。
障害者採用も同じように色々な方法があります。
わたしは大学卒業後の就職活動と転職活動を2回経験し、そのたびに新しい仕事探しの方法を試してみました。
いくつか試した中で、わたしに一番合っていた方法は直接企業にアプローチ。
逆に一番合わなかった方法は、障害者雇用専門の人材紹介会社でした。
この人材紹介会社というのは障害者雇用に特化した営利企業で、仕事を探しているクライアント、つまり障害者は無料で就職サービスを受けられます。
サービスの流れをご紹介します。
(1) 人材紹介会社との面談
学生時代に学んだこと、仕事の経験やスキル、次の就職先に希望すること(業種・職種・給与・待遇など)を伝えます。
わたしは3つの人材紹介会社を利用しましたが、どこも約1時間程度の面談でした。
会社によってはPCスキルのチェックがあります。
(2) 求人とのマッチング – 初期段階
人材紹介会社との面談のあと、いくつか候補になる求人を紹介してもらえます。
人気企業の場合、希望者が集中するので、人材紹介会社内でどの障害者を推薦するか選考することもあります。
選考に通ると仲介会社が企業宛に推薦状を書いてくれます。
推薦状の内容は(1)で話した面談の内容がベースになっています。
(3)企業での面接
企業側がクライアントの情報を確認し、条件など適した人材であれば面接に進むことができます。
人材紹介会社によっては面接をする企業までいっしょに来てくれる場合もあり、企業の面接官に引き継ぐところまで同行してくれます。
面接自体は通常の面接と同じ流れで進みます。
一回の面接で終了することもあれば、2次面接・3次面接などに続く会社もあります。
(4)面接結果のお知らせ
企業が採用を決めると、人材紹介会社に連絡を入れます。
人材紹介会社はその結果をクライアントに報告します。
サポートがしっかりしているようにも見えますが、わたしが利用した3社には共通していた欠点がありました。
それは、企業から早く報酬をもらうため、障害者と空きのある求人を素早くマッチさせることに注力していること。
そのため、障害者自身の能力やスキルは参考程度。
希望する業種・職種・待遇は二の次で、とにかく採用が決まりやすい求人票を紹介するということです。
わたしは小学校からずっと公立学校の普通学級で学び、アメリカの4年制大学の卒業資格もあります。
最初に働いた会社はイギリス系の旅行会社で、毎日ロンドン本社と英語でヨーロッパのホテル契約や料金交渉などを行っていました。
2社目では大手メーカーの海外マーケティング部で市場調査などにも携わっていました。
2回目の転職(3社目)では、「もっとバリバリ働きたい!」と考え、自分のスキルや経験を生かして企画・運営ができるような職場を探していました。
当時、わたしは社会人5年目。
社会人としての経験も少しあり、当時勤めていた会社では不満がない程度の給与ももらっていました。
キャリアアップを目指しての転職ですし、もちろん次の転職先には、職種も待遇もより良い条件をもとめます。
そんな中、障害者雇用専門の人材紹介会社の存在を知り、キャリアアップを目指した障害者へより良い情報や求人情報をもっているのかなと興味が湧きました。
実際、人材紹介会社の皆さんはとても親切に対応してくれました。
しかし、そのサービスは予想と大きくかけ離れたものだったのです。
人材紹介会社が持っている求人数は多いです。
しかし、車イスOKの求人を出している企業で絞り込むと、その数はグンと少なくなります。
これは、オフィス内外のバリアフリー環境を見た上で、Moon Rider (車イスユーザー)は受けいれられないと判断している企業が多いため。
Moon Riderでも一人ひとり状態は違うので、すべての人が完全なバリアフリー設備がないとダメとは限りません。
しかし日本の大半の企業は、Moon Riderを実際に雇用した経験がなく、その経験不足から自然とそういう判断になってしまうのかと思います。
その結果、車イスOKの求人はほぼ大手企業のみに限定されてしまいます。
大手企業は自社ビルを持っていたり、賃貸でも設備が整ったビルに入っているというのが大きな理由です。
応募できる求人数がグンと狭まると同時に、職種もグンと狭まります。
私の経験上、障害者採用で車イスOKの求人はほぼ事務職であり、部門は人事部や管理部などバックオフィスが主です。
車イスといっても重度の人から軽度の人、フルタイムで働ける人から時短で働く人など様々。
そのことから、バックオフィスが配属先としてアレンジしやすいのでしょう。
この配属先ですが、人事部や管理部で仕事をしたいという人にはありがたいことです。
が、他の職種を希望している人には「障害があるだけで何でこんなに限定されてるの?」と疑問しか残らないでしょう。
また、障害者採用の求人に描かれている条件の少なさやレベルの低さもすごく気になりました。
事務職の求人でよく見かけたのは、必須条件が障害者手帳を持っていることと電話対応ができることのみ。
中には学歴不問というものもありました。
障害者の中には一般教育を受け、既にいろいろな分野で仕事の経験を積んでいる方がいっぱいいるはずなのに、多くの企業がこぞって同じような職種+低い条件で求人を出しているのです。
「条件を下げないとそもそも障害者が応募してこない」という声も聞いたことがあります。
それにしてもここまで低いと、障害者の”能力”ではなく、ただ”数”が欲しい(*1)という会社の裏の顔が見え見え。
同じ条件で健常者の新卒や中途採用はしていないはずなのに、こんなに大きな差があるのはおかしいです。
そんな条件なので、必然的に障害者雇用は正社員採用が少なく、ほとんどが契約社員か嘱託社員。
中途採用者が満足できる給与を出しているところも圧倒的に少ないです。
キャリアアップに繋がる求人の少なさに愕然とし、障害者が理想のキャリアパスを描くのは本当に難しいということを改めて思い知らされました。
参考:
- 日本の障害者雇用率については過去の記事に記載しています。 https://moonrider7.com/2016/02/07/independent-living2/
自分も障害者で、正にこないだ2つめの障害者専門の人材紹介会社に面談に行ってきました。
1つめは、全く当てにならないので2つめになりました。
「人材紹介会社は障害者をどう見てる?」を読んできて、確かにあまり期待できないのは少し分かってたのですが、自分の場合大卒でも無いし経験・スキルも無いからしょうがないのです。
Moon Riderさんのような経歴が優秀なら直接企業に行けるでしょうが、自分の場合は無理です。
障害者支援施設での1・2万より、バイトでも10万くらいなら充分というのが現状です。
ありがとうございました。
実は、新宿で障害者就労移行支援事業ZUTTOを営むものです。
一年あまりになりますが、今ひとつコンセプトがピリッとせず、
障害者専門人材紹介業の存在を知り、
「紹介料を払ってまで障害者を採用する企業」に紹介するのだから、
よほど障害者を活かす会社なんだろうと。
であれば就業先は紹介業に任せ、
我々は本来業務の人財育成に集中すればいい、
そんなコンセプトに作り込んでいこうと考えていた矢先。
紹介業者を色々調べるウチにこのブログに行き着きました。
紹介業者がそういった傾向だと言うことがまだ理解できない部分もあり、
とはいえ慎重な対応が必要とも自覚し、
できればもっと色々教えて頂ければと。
実は私どもの就労移行支援事業業界も同様の矛盾の中にあります。
これを突き崩すことが使命と感じていますが、
その連携対象が人材紹介業になると踏んでいたのですが・・・。
ブログ、たくさんありますので、まずは興味あるところだけ、
時間が許す限り目を通してみます。
質問などさせて頂くかも知れませんが、
よろしくお願いします。