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** 前編はこちら **
障害者雇用専門の人材紹介会社で面談を受けた数日後、
「Mizukiさん、ぜひこの企業を受けていただきたいです」というメールが届きました。
興奮気味に仲介会社に電話してみると、某日系大手航空会社の一般事務。
業界も職種も事前面談で伝えていた希望とは違い、年収も100万円ほど下がる求人でした。
なぜこの仕事を私に?何かの間違いではないか?と思い、仲介会社に確認すると
「先方は業務幅を広げられると言っています!給与も相談してみてください!」と猛プッシュ。
そこまで勧めるのであれば、企業の方から直接何か話があるのかもと期待をもって面接に臨みました。
…しかし、新しい展開は一切なく面接は終了。
現在の年収を伝えた上で給与の交渉もしましたが、相手は言葉を失ってしまいました。
結局、最初から最後まで「なぜ仲介会社はこの求人を私に紹介したのだろう?」と
クエスチョンマークで頭がいっぱいでした。
別の人材紹介会社は、数多くの人気大手企業と提携していました。
そのため希望の会社を伝えてから1ヶ月経っても
「まだ社内で推薦する障害者を選考しています」と言われ、その動きの遅さにビックリ。
まだ1社しか希望を出してないのに、こんなに時間が掛かるの?と焦りを感じ、
同時進行で自分で探した企業へ直談判もスタートさせました。
すると、こっちですんなり3社目の就職先が決まったのです。
業界も職種も希望通りで年収アップ。
仲介会社が間に入るより、自分でやったほうが早く良いところが見つかるなと改めて感じました。
障害者の能力や希望に合わない求人を紹介したり、
推薦する障害者を選ぶのに時間が掛かる人材紹介会社たち。
何故こんなことが起こるのでしょうか?
それは、障害者をより受かりやすい企業に紹介して、
採用率を上げ、採用してもらった企業から報酬をもらいたいからです。
障害者雇用に限らず、人材紹介会社のシステムはそういうもの。
なので、その仕組みが悪いとは言いません。営利企業は利益を出す必要があります。
そのため、100%障害者側の目線で就職サポートというより、
やや企業寄りの目線で障害者を見てしまうのは仕方ないのかもしれないです。
しかし、最初から完全に企業側に立ち、簡単に採用が決まるところを最優先に勧めるのは
”仲介”会社として良い仕事をしてると言えるのでしょうか?
そのサービスでクライアントの障害者たちは喜ぶでしょうか?
雇用市場を拡大し、社会と企業の両者にとって良い障害者雇用のカタチは作れないでしょうか?
仲介役が現在していることは雇用市場にとって健全な方法と言えますか?
今年の1月ごろ、日本の障害者雇用の失業率を調べていると
ある障害者雇用コンサル会社にヒットしました。
この会社では企業向けのコンサルティングと同時に、
障害者へ就活セミナーやキャリア教育も行っていて
代表者Y氏は障害者雇用に関する様々なデータもブログで掲載されていました。
そこで、Y氏がこれまでの仕事やリサーチを通して、
障害者自身には一定のスキル・能力があるのに、雇用主や仲介会社に偏見・差別があり、
なかなか就職につながらない人がどれくらいいるのか、見解を伺ってみました。
「 Y様(会社の代表者)のこれまでの分析や実際の傾向から、
”働きたくて就職活動をしているが、仕事が見つからない”
という障害者はどれくらいいると予想されていますか?(一部抜粋)」
すると、以下の回答が届きました。
「ほとんどいないと考えております。
“本気で”働きたいと考えていれば、ほとんどの方は就職できていると思います。
というのも、本気で働きたいと考えていれば、他人の意見を受け入れたり、
条件面を下げるなど、就職するための手段を考え、
自分のできること、障害を鑑み、一般的な条件面に自分を合わせるからです。
働きたいけど就職できない人は、障害が重いなどの理由もありますが、
それ以上に、条件面ややりたいことへのこだわりが強すぎることが就職できない理由です。
で、そのこだわりを変えられないのは、本気で就職したいと考えていないからです。
就職することよりも自分の条件面の方が大事なのです。
本気で就職したいと思っていないのです。
ですから、本気で就職したいと考えている人は就職できていると思います。」
このメッセージを受け取った時、わたしは目を疑いました。
障害者雇用に関わっている方が、こんな風に障害者の就職を考えているとは想像もできませんでした。
「条件を下げれば就職先が見つかる」というのは障害者に限らず健常者も同じはず。
そんなことは誰にでも分かります。
「こだわりが強すぎる」人も実際にいるかもしれません。
でもそれは、自分が持っている能力やスキルが
最初から正しく評価されていないと感じているからではないでしょうか?
就職するには条件面もこだわりたいです。
毎日をそこで過ごすことになり、仕事は人生を大きく左右することにもなります。
「障害者は変にこだわりを持たずに、妥協すれば働く場所はあるんだよ」
そう言われているようで、この障害者雇用コンサル会社の代表者は、
完全に上から障害者を見ていると感じました。
障害者と企業の間に立つ会社が、こんな目線で障害者を見ていれば、
”社会が守るべき存在であり、社会への貢献度が低い人たち”という
障害者へのステレオタイプからいつまでたっても脱することはできません。
障害者雇用に関わる企業たちもビジネスをしていることはよく承知しています。
しかし、人を扱うビジネスだからこそ、人を大切にしないといけないはず。
障害者も同じ人間です。
障害者が希望を持たずに妥協し続けることは雇用のあるべき姿ではありません。
人材紹介会社ができることは、障害のある求職者へ受かりやすい仕事を紹介することだけではないはずです。
最初から障害者にレッテルを貼り、できる仕事に限界を作ってはいけません。
「ここに申し込めば簡単に就職先が決まります」という誘導ではなく、
「ここに挑戦すればあなたの希望に近づくことができます」というアドバイスも仲介の重要な役目ではないでしょうか?
最初から「障害者はこう」と決めつけず、
まずは目の前にいる障害者がどんな人なのかを心でちゃんと聞き、
その上で、どの会社に適しているのかを提案してください。
企業の中にはまだ「障害がある人なら誰でも」という考えでいるところもあります。
人材紹介会社が戦力になる障害者を企業に紹介することで、
人数を集めるだけの障害者雇用から、戦略的な障害者雇用へ変えていくこともできます。
このような仕事が、本来 ”仲介” 会社が担うべき役割ではないでしょうか?
Mizuki様
突然のコメント失礼いたします。
障害者雇用に関する情報を得たく、色々とネットを検索していましたら、こちらのサイト記事に行きつきました。
こちらの記事を見まして、ピストルで胸を打たれたかのような衝撃を受けました。
あ、すみません。紹介が遅れました。
私は、現在人材ビジネスの企業で働いているものです。
ただ周りの方と少し違うのは、12年前に長男を事故で他界させてしまい、次男が先天性の脊髄性筋萎縮症をいう障害を持っているということです。
まだまだ、10歳の息子ではありますが、自身で独立して生きてほしい思いから、自然と息子の将来の仕事のことに行きつきました。軽い気持ちで色々な企業に話を聞いてみると、トイレに一人で行けないとかなり厳しいですよ!という意見が非常に多かった印象があります。まさか、公的な役所でも同じ回答が・・・正直、愕然としました。
ならば、自分で会社を興して、自分が架け橋になろう!と思い立ち。今年、起業します。
そんな中、業界として情けないこの話を目の当たりにしました。この問題は、障がい者の部門に限らず、この業界で大きな問題だと思います。
私が作る会社は儲かる会社ではないと思います。しかし、無くてはならない会社と思っております。
障害には色々な形がありますよね。すべての障害に対応するこは不可能かもしれませんが、私が出会った方とは個の関わりをしていきます。
ただ単に、息子が障害をもち、その父がどこまでできるかわかりませんが、何かを変える第一歩を作れればと思っています。
ちょっと、よくわからない文章になってしまいましたが、文章力がないのと猪突猛進型なのでお許しください。また、Mizukiさんにとって不快なコメントでございましたら、申しわけございません。
「MoonRider7Project」今後も、拝見させていただきます。
前編だったか,既にコメントしました山﨑です。
どうしても,一部分からなくて、ご説明いただければ幸いです。
「それは、障害者をより受かりやすい企業に紹介して、
採用率を上げ、採用してもらった企業から報酬をもらいたいから」
障害者が受かりやすい企業、というのはどのような企業でしょう?
逆に、「企業から受け入れにくい人材」がMizukiさんであるかのような文面です。
とても有能そうで、むしろ喉から手の出るような方のように感じるのですが。
お忙しい中恐れいりますが、ご回答いただければ幸いです。