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Moon Rider Bus Wheelchair

 

こんにちは、Mizukiです。

私はいつもシラキュース大学の学生・職員向けに運行されているバスに乗って

アパートと研究所のあるキャンパスを行き来しています。

帰りはいつも午後4時台か5時台のバスに乗っているのですが

その時間は乗車する人も多いので2台のバスが来ます。

毎日同じドライバーが同じ時間帯のバスを運転しており

午後のバスは1人は女性、1人は男性のドライバーです。

 

男性ドライバーは以前ブログにも記事を書いたのですが、すごく丁寧で親切な方。

車イスの私を見つけたら、他に乗り込む人に「ちょっと待っててください」と言って、

自動で開閉するスロープを出し、優先的に乗車させてくれて、ベルトなどをセットしてくれます。

 

しかしもう一人の女性ドライバーは、私を見るといつも

「(男性ドライバーの)もう1台のバスに乗って」と言ってきます。

最初の頃は「新人ドライバーだからスロープの使い方がわからないのかな?」と軽く考えて

男性ドライバーのバスに移動し乗せてもらってもらうことが続きました。

 

しかし先日・・・

 

雨が降るなかバスを待っていたところ、1台目に来たバスは女性ドライバーのバス。

いつものように「もう1台のバスに乗って」と言ってきました。

「雨の時くらい最初に来たバスが乗せてくれたらいいのに」と思いつつ、

2台目のバスもすぐにやってきたので、そちらに移動。

 

乗り込もうとすると、男性ドライバーから

「このバスのスロープは壊れてるから、前のバスに乗ってくれる?」と言われました。

するとその時、女性ドライバーが運転する前のバスが出発し始めたのです。

男性ドライバーは慌ててクラクションを鳴らし、バス間で繋がっているマイクを使って

「車イスの人をそっちのバスに乗せて!」と叫びました。

 

前のバス(女性ドライバー)はすぐ止まり、数名の乗客を降ろして車イスの私が入れるスペースを作りました。

こっちの自動スロープはまったく問題なく作動し、私を乗せてくれました。

が、最終地点の私のアパートに着くまで、女性ドライバーはずっと不機嫌。

他の車に必要以上にクラクションを鳴らし、怒っている態度を前面に出していました。

 

アパートに着いたあと「こういう扱われ方をするっておかしくないか?」と悶々と考え

Facebookに一連の出来事を英語で書きました。

 

すると予想以上に反響が!

特にアメリカ人の友人からの反応が多く

ほとんどが「Report her! (その女性ドライバーを通報しなさい!)」という内容。

ある方からは「障害者差別だけじゃなく、アジア人差別の可能性もある」ということも言われました。

あまりにも反響が大きかったので、その夜、大学に対して一連の出来事をメールしてから寝ました。

 

翌朝、起きてみると早速大学からメールの返信が来ていました。

内容は「バス会社と契約をしている部門に連絡する」というもの。

そのあと、朝10時ごろアパートからバスに乗ると、午前中担当の年配ドライバーさんが、

「辛い思いをしたんだって?もう同じことは起こらないからね」と笑顔で声をかけてくれました。

 

Moon Rider Bus Wheelchair 2

その日の夕方のバスは、なぜか1台だけで男性ドライバーが運転していました。

彼は特に何も言ってきませんでしたが、私が来る前からスロープを出して待っていてくれました。

 

その数日後、バス会社からの回答とともに大学からの報告がありました。

女性ドライバーの言い分は、

「いつも私が最初にバス停に到着し、そのバスは乗客でいっぱいになってしまうから、

車イスの彼女(Mizuki) にはもう1台のバスに乗るように言っていた」

でした。

 

それに対して大学側は、

「それは乗車拒否する理由にはならない。

まずは、車イスの人がバス停で待っていることが確認できた時点で、

その人を先に乗車させなければならない。

もし車イスの人が乗る前からバスが満員だった場合は、きちんとその状況を説明して

別のバスに乗れないか聞かなければならない。

またスロープが壊れているという状況はバス会社内で共有され、全てのドライバーが知っておくべきこと。

スロープが壊れているバスにはそもそも乗れないので、

もう一台のバスが確実に車イスの人を乗せる必要があるという確認がなされるべきである。」

と伝え、バス会社は今後同じようなことが起こらないようにすると同意してくれたようです。

 

Moon Rider Bus Wheelchair 3 

私が驚いたのは、この件に関するアメリカの人のリアクションの大きさと問題対応の早さでした。

それくらい差別に対して敏感であり、深刻な問題なんだということを身を持って経験しました。

以前、日本の公共交通機関を利用したときに問題があり、問い合わせしたことがありましたが、

返事が来たのは1~2ヶ月後。

問い合わせしたことも忘れかけていたころでした。

 

その経験をアメリカ人の友だちに話すと

「アメリカでは訴訟が多いから、対応が遅かったら訴えられる可能性もある。

日本ではそんなに訴訟がないから対応もゆっくりなのでは?」

と言われました。

その違いは確かにありそうですね。

 

アメリカ生活の忘れられない経験のひとつになったのでココに書き記しておきます。

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2 thoughts on “バス運転手が車イスの私を乗車拒否。この問題にアメリカ人はどう対応したか?

  • 3月 30, 2016 at 9:45 pm
    Permalink

    福祉先進国のアメリカでも障害者に
    対しそうゆことがあるんですね😰😰😰

    Reply
    • 3月 30, 2016 at 10:02 pm
      Permalink

      コメントありがとうございます!
      以前、アメリカ中西部に2年間住んでいて、東海岸・西海岸も含め10箇所以上訪れていますが、こういう経験は初めてでびっくりしました。頻繁にあるわけではないですが、完全にないとは言い切れないですね。基本的には皆さん笑顔で気軽に助けてくれる人が多いですよ!

      Reply

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