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Moon Rider Mizuki Visit Microsoft

こんにちは、Mizukiです。

 

シアトルで、ハイテック業界におけるグローバル企業のマイクロソフトを訪問しました。

1月にシリコンバレーで多くのハイテック企業を訪問しましたが、その中で気づいたことは、

彼らが長年にわたり、商品・サービスのアクセシビリティを考えてきたということ。

またそこには、障害のある従業員が加わり、自身の障害を”利点(アセット)”として活用し、各社のビジネスを強みにもなっていました。

 

そのことからマイクロソフトではどんな取り組みがあるのかとても関心があり、

訪問する前からずっと楽しみにしていました。

インタビューさせていただいたのは、

Nicole Kelley氏(グローバルダイバーシティ& インクルージョンの戦略ディレクター:写真右)と

Teresa McDade氏(ワーク & ライフ・ベネフィットのディレクター:写真左)です。

Moon Rider Microsoft 2 

日本の雇用システムと違い、アメリカでは障害者の採用に関して障害者雇用率というものはありません。

そのためアメリカ企業では、障害者も含めすべての求職者がもっている能力・経験を見て審査をしており、これはマイクロソフトでも同様です。

インタビューの冒頭にNicole氏は

「障害者も従業員になるポテンシャルがある人材ですので、他の求職者と同じように捉えています。」

と言われました。

 

インタビューで教えていただいたのは、マイクロソフトが実施している様々な障害者の採用方法。

そのうちの1つは試験的なプログラムで、自閉症者の雇用にフォーカスしています。

従業員が本来の仕事とは別にボランティアベースで活動をする取り組みについて、

以前Ciscoの訪問レポートで掲載しましたが、同じような取り組みがマイクロソフトにもあります。

障害者への取り組みをしているのは”Cross Disability Employee Resource Group”という名称。

このグループのエグゼクティブ・ディレクターである Mary Ellen Smith氏が、

昨年の春に、自閉症者をターゲットにしたこの採用プログラムについてニューヨークの国連本部で発表したのです。

 

 

マイクロソフトが気づいたこと、それは通常の採用プロセスに自閉症者への多くのバリアが存在するということです。

そのバリアを少しでも無くすため、別の採用プログラムを作り、彼らが仕事に必要な技術スキル を持っているか審査することにしました。

”Hiring Academy”と名付けられたそのプログラムは、4週間のインターンシップと面接によって構成されています。

通常の採用プロセスでは、文字や言葉での自分自身を説明するスキルが重要になってきますが、

そのコミュニケーション方法は自閉症者が苦手とするもの。

そこでマイクロソフトは、時間をかけながら実際の職場で、実際のタスクを与えることで

その人の持っている能力をきちんと審査したいと考えました。

細かい作業に優れていて、高い集中力も評価されている自閉症の人々。

これらの能力をうまく活用できれば会社の強みにもなります。

 

現在11名がこのプログラムを修了し、マイクロソフトで働いています。

第一回のプログラムが成功したことを受けて、マイクロソフトはさらに規模を広げて、

内容も改善しながら次回のプログラムをスタートさせるとのことです。

このプログラムの成果についてはこちらをご覧ください。(英語のみ)

 

また興味深いと感じたのは、マネージャー研修の内容もいっしょに組み込まれているということ。

このプログラムを通して、多くのマネージャーたちが自閉症の人たちといっしょに働くために変化していく様子や、

また他の従業員に対しても一人ひとりが持っている強みを積極的に活かしていこうという動きが見れたそう。 

 

Nicole氏は、こんなことを言われていました。

「このプログラムから得た大きな成果は、より多様な人材を受けいれられるインクルーシブなマネージャーが増えたということです。

これは他の研修プログラムの基礎とも言えますが、インクルーシブなマネージャーになるということはシンプルに、より良いリーダーになるということ。

自閉症のある人、女性、世代の異なる人など、チームの中に広がる多様な人材をうまく活用できるようになるのです。」

 

 

日本では障害者の採用方法が最初から分けられていることがほとんどです。

日本の企業サイトで、「採用情報」や「キャリア」のページをクリックすると

以下のように採用を分けたページを簡単に見つけることができます。

Moon Rider Microsoft Interview 1
障害者採用向けのポジションは健常者と分けられており、採用を実施している部門も限定されています

 

私は個人的に、障害者を最初から分けて採用するシステムは不公平だとずっと考えていました。

というのは、障害のある求職者のなかにも、障害のない求職者と十分競争できる能力や経験を持つ人がいると考えていたためです。

しかし、健常者向けにデザインされた採用プロセスでは、本来持っている能力を十分に証明できないという障害者がいることも事実(*1)。

そのような障害者にとっては、採用プロセスが分けられている方がうまくいく可能性が高いでしょう。

マイクロソフトでの“Hiring Academy”の取り組みを聞いたあと、

障害者を分けた採用方法が必ずしもネガティブなものだけではないということを知りました。

 

しかし、日本の雇用システムの課題は、”すべての”種類の障害者を一まとめにして、

一般の採用プロセスから外しているということです。

障害者のなかには様々な人がいます。

障害の種類やその程度によって、働ける職種や業務量などは大きく異なり、活躍できる場所もそれぞれ違います。

日本の企業に必要なのは、それぞれの障害の特性をもっと知ることではないでしょうか?

その特性の中には、他の人間には取って代われない素晴らしい価値があり、

社内外にインパクトを与えるものが多く存在します。

マイクロソフトが自閉症者の採用を通して発見した価値もその中のひとつなのです。

 

マイクロソフトの障害者インクルーシブ採用の詳細はこちらをご覧ください。(英語のみ)

 

Part 2へ続く

 

(*1) このトピックについては、昨年オンラインイベントでも話し合っています。

イベントレポートはこちらをご覧ください。

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