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*** Part 1 はこちらです ***
スターバックス本社でAccess Allianceの定例会に参加したあと、Marthalee Galeota氏にお話を伺うことができました。
彼女は、Equal Opportunity Initiatives(Equal Opportunity=平等な機会、Initiatives=イニシアチブ・主導などの意味)という部門のマネージャーであり、アメリカ手話通訳士の資格も持っています。
幼い頃、Marthalee氏は障害のある子供も多く通うインクルーシブ教育(*1)の小学校に通っていました。
親友にはダウン症の妹もおり、障害者と接することは生活の一部になっていたと言います。
しかし大きくなるにつれて、障害者が不当に扱われ、社会から孤立している課題に気づきました。
カウンセリングで修士号を取得したMarthalee氏は、知的障害、視覚障害、身体障害など様々な障害者のために働きはじめました。
彼女の特技の1つは、盲ろう者(聴覚と視覚に障害がある方)への触手話で、
これは直接相手の手に触れながら手話の動きを確認してもらい通訳をしていく方法です。
スターバックスでのMarthalee氏の仕事はまさに「架け橋」そのもの。
彼女の元には、社内の各方面から障害者関連の施策や課題の相談が彼女の元に集められます。
例えば、ある部門が障害者を採用する際にどんな配慮をしたらいいか、
問題なくアクセスできる研修プログラムをどう作ったらいいか等の相談があります。
Marthalee氏は様々なリソースを提供し、どうすればその障害者を受け入れられる体制が作れるか、
その可能性を広げるアイデアを提案していくそうです。
仕事は社内の障害者だけに留まりません。
お客様として店舗に来られる障害者に対しても、もっと利用しやすく快適に過ごしてもらうための施策に尽力しています。
その例として、アメリカの全スターバックス店舗には、
点字+拡大文字印刷がされたメニュー(以下の写真1枚目・2枚目)と
写真付きメニュー(以下の写真3枚目)が用意されてます。
視覚や聴覚に障害のあるお客様にも注文しやすくなっているんですね。
この他に、”Creating a Deaf Friendly Environment(聴覚障害者にやさしい環境づくり)” という研修モデルもMarthalee氏が作ったそう。
彼女自身、手話通訳の資格を持っており、社内の手話通訳サービスの管理もされています。
聴覚障害の従業員が手話通訳士を必要とする場合、オンラインでリクエストすることができ
Starbucksサポートセンターから手話通訳士が手配されるという仕組み。
これはスターバックス本社内だけでなく、各店舗や焙煎工場で働く従業員も同じくリクエスト可能とのこと。
このような障害者従業員の合理的配慮にかかる費用は、社内で1つにまとめられた予算から使うようになっているそうです。(*2)
Marthalee氏はこんな事を言われていました。
アメリカでは、5人に1人が何かしらの障害があると言われています。
私たちスターバックスは、そんな障害のある方々も”歓迎されている”と感じてもらえる環境づくりに力を入れています。
障害者のことを自分たちとは違う、別のグループと考えている人もいるでしょう。
しかし、そうではありません。「彼ら」と「私たち」という区別はなく、すべて「私たち」のことなのです。
障害者は創造力にあふれ、斬新なアイデアを提案してくれます。
スターバックスには数多くの障害者が働いており、
聴覚障害者、視覚障害者、トゥーレット症候群、知的障害、自閉症など障害の種類もさまざまです。
先日、アメリカの人気番組”The Ellen Show”には、スターバックス店舗で働く自閉症のSamが出演していました。
Ellen Meets the Dancing Starbucks Barista(英語のみ)
街中にあるスロープや自動ドア、また字幕対応などは、一見障害者だけをサポートするものに見えますが
実は多くの人にとって利用しやすく、便利な環境を作り出しています。
職場や店舗でも、そのようなアクセシビリティを考えてデザインすることで、
従業員は働きやすく、お客様は快適に過ごせる空間をつくることができます。
そうすることで、「ここで働きたい」「ここで時間を過ごしたい」という人材やお客様が増えていき、
長期的にすべての人を幸せにできる素晴らしいサイクルになっていくのです。
多くの企業は、来年、5年後、10年後のことを考えて経営しているのではないでしょうか?
次の世代にもそのビジネスを残していきたいと考えるなら、
どんな人でも働きやすい、利用しやすい環境づくりへの投資は必要不可欠です。
企業が得るベネフィットは、社会からの評判・常連のお客様・長く働いてくれる従業員を通して実感することができます。
スターバックスがまさにそれを証明している会社なのです。
Part 3へ続く
*1 アメリカの教育現場には、障害のある生徒も必要なサポートを得ながら普通学級で一般教育を受ける環境があります。以下の記事をご参照ください。
*2 アメリカの大手企業では、スターバックスのように合理的配慮の予算を会社で1つにまとめているところが多いです。マイクロソフトもその1つです。マイクロソフトの訪問レポートは以下をご参照ください。
初めて拝見いたしました。
原因不明の下肢障害で車椅子に乗って2年になります。
自分がこうなってから、しばらくは自分が嫌にたりもしましたが、今は夢もできました。 こんな僕でも他の障害者の方々に勇気を少しでも与えてやれるといいなって思いはじめました。 その矢先にこのページを偶然見つけることができました。 素晴らしい取り組み、活動ですね。 コンテンツ一つ一つがびっくりしたり感激したり・・・ これからのご活躍を応援させてください。 僕のブログページにリンクを貼ってもよいでしょうか?
コメントどうもありがとうございます。このサイトが少しでも金澤さんのポジティブエネルギーに、そして夢の実現に繋がればとても嬉しいです!
リンクは貼っていただいて構いません。今後ともよろしくお願いします。