This article is also available in: English

*** Part 2はこちら ***

MoonRider7_DO-IT

DO-ITオフィスでの取材翌日、年に3回行われるという交流会に招待していただきました。

参加者は、過去にスカラーズ・プログラムに参加した学生、また現在参加中の学生とその両親。

学生と両親が集まる部屋は別になっていて、学生は学生同士で近況報告をし、親は親同士で情報交換ができる場になっています。

 

すごく良いなと思ったのは、親同士の交流。子供に障害があるといろいろなことが不安になります。

これまでに経験がなかったり、情報不足だったりすると親が守りに入ってしまうことは自然なこと。

親同士が集まれる場があれば、抱えている悩みを共有することができ、他の参加者からアドバイスを得たり、

いっしょに解決策を考えてもらえたりとポジティブな方向に進んでいくことができるのです。

 

好事例をご紹介します。

自閉症の息子の就職先がなかなか決まらない、とある親が打ち明けました。

その息子はエンジニアの学位をもっていますが、障害のため一般の選考プロセスをクリアするには壁がたくさんありました。

すると、その場にいた別の障害を持つ子共の父親が一言。

「僕はその業界で仕事をしているから、会社に掛け合ってみるよ。」

そこから話が進んでいき、見事、自閉症の息子は自分が学んできたエンジニアの知識を生かせる会社に就職することができました。

MoonRider_graduation

スカラーズ・プログラムでは1993年から開始してこれまで462名の修了生がいます。

高校卒業率は100%。

障害のある生徒は高校中退してしまう人も多い(*1)というアメリカでは、これは素晴らしい結果だと言われていました。

高校卒業後、進学した学生はこんな道をたどっています。

• 大学レベルの高等教育卒業資格 20名

• 準学士 78名

• 学士 177名 (2年制の短大からtransferした人も含む)

• 修士 29名

• 法務博士 6名

• 博士 5名

 

スカラーズ・プログラムを修了した生徒の中には、DO-ITプログラムを運営しているワシントン大学へ進学する人もいます。

中には学業と並行して、DO-ITでインターン生として働いている人も。

 

DO-ITでコーディネーター&カウンセラーを務めるTami氏は、

スカラープログラムの経験者として改善点を提案してくれる事は本当に助かりますし、次の世代の生徒をサポートできる立場になった姿を見るとすごく嬉しい。

大学4年間、インターンとして働いた経験は履歴書にもかけるので就職先を探す際にも有利に働きます。

プログラム全体が良いサイクルで回っているのだなと実感しました。

 

MoonRider7_Wheelchair

 

障害者は受け身であり、サポートしてもらう側である”と考えている方はまだ多いと思います。

大学進学を目指す障害のある高校生たちに、大学生活やその先のキャリアで成功できるよう必要な資源やスキルを提供していきたいと考えています。

このSheryl氏の言葉はすごく印象に残っています。

 

どんな状態の人でも、能力を持っていてそれを少しずつでも伸ばすことはできます。

それを実際にできるかどうかは、周りにいる大人たちがどう動くかにかかっています。

手を差し伸べることも大切ですが、時にはチャレンジさせることも人を大きく成長させる重要な機会です。

DO-ITでお会いした学生と親御さんたちはみんな笑顔に溢れていました。

きっと明るい未来が見えているからでしょう。

DO-ITのプログラムに参加した生徒たちのように、多くの障害者が自分の能力を活かしながらアクティブに活躍できる社会を実現したいと改めて実感した2日間でした。

 

終わり

 

*1  障害者の高等教育を支援する団体 “AHEAD”のWendy Harbour氏にインタビューした際、障害のある高校生の中退率が高いこと教えていただきました。インタビュー記事は以下から読むことができます。

障害者への高等教育が世界を変える

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です