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今週はとても特別な1週間でした。
9月27日、都内のアメリカ大使館公邸にて、トーマス・ハーキン元上院議員を迎えて障害者コミュニティのレセプションが開催されました。
トーマスハーキン元上院議員は、アメリカのADA(The Americans with Disabilities Act=障害のあるアメリカ人法)という障害者の権利を守る法律を施行するために尽力された方。30年以上に渡って障害者差別を無くすために様々な活動をされてきました。
アメリカ大使館からレセプションへご招待いただいたのは、まだシラキュースにいたころ。
障害分野の研究をしている同僚や教授にこのことを話すと、みんな口を揃えて「トーマス・ハーキン元上院議員に直接会えるなんてすごく幸運なことだよ!」と興奮した様子でした。
それくらい障害分野で大きな影響を与えた方なんですね。
レセプション当日、ジェフと私は久しぶりにドレスアップをしてアメリカ大使館公邸へ。
アメリカ大使館のすぐ隣にアメリカ大使館公邸があり、入り口にはMoon Rider (=車イスユーザー)もアクセスできるよう一時的なスロープが設置されていました。
また公邸の外に車イス対応の仮設トイレも2つ用意されていました。
私たちが入り口に着いた時点で、すでにゲストの列が・・・中はこんなに混雑していました。
公邸は決して小さくはないですが、100名ほどのゲスト+車イスを使用している人も多かったので、身動きするのは大変…!
そんな中でも新しい人たちとの出会いがたくさんありました。
このレセプションに来られていたのは、障害のある当事者や障害者関連のNGO/NPOで働いている方々が主。
特にお会いできて嬉しかったのが織田 友理子さんです。
織田さんは遠位型ミオパチーという筋肉が萎縮していく難病を持っており、私と同じく車イスで生活されています。
同じ病気の患者さんのために団体を設立されたり、書籍をいくつも出版されているパワフルな障害者アドボケート。
また私がアメリカでの研究でお世話になったダスキン愛の輪基金の同プログラムを使い、織田さんも過去にデンマークで研究をされました。
この背景もあって「いつかお会いしたいなぁ」とずっと考えていたのです。
写真の通り、実際の織田さんはとても綺麗な方!
また、お話する中でとても親切であり、強い意志を持った方だなと感じました。
忙しいスケジュールのなかでもアクティブに活躍されている織田さんはとっても魅力的な女性です。
さて、レセプションが始まってすぐ、ジェフが興奮気味に私の肩をたたいてきました。
指さされた方を見てみると、何と!有名な全盲のピアニスト・辻井伸行さんが近くに座っていたのです!
ケネディ大使とトーマスハーキン元上院議員が挨拶をしたあと辻井伸行さんが紹介され、その場で2曲を演奏されました。
実際に生で彼の演奏を聴くことができるなんて夢のような気分。
そのとても繊細でパワフルな演奏は会場のゲスト全員を魅了していました。
辻井伸行さんの演奏後、直接トーマス・ハーキン元上院議員とお話しするチャンスがやってきました。
ハーキン氏はとても気さくな方で、私の質問に丁寧に答えてくださいました。
質問したのはアメリカでの取材でいつも聞いていた、「あなたの考える障害者の理想の社会とはどんなものですか?」です。
ハーキン氏の答えは、
- 障害者一人一人が自分の意志で人生の選択ができること。
- 健常者が障害者に対して適切な態度で接すること。
- 障害のある人もない人もより便利に利用できるユニバーサルデザインのコンセプトを持っていること。
1つ1つ説明される姿をみて、この方は本当に障害者のことを考えて、社会をよりアクセスしやすくするために、
また生活のどんな場面でも平等な機会が与えられるよう尽力されてきたのだなと感じました。
私もいつか彼の様に障害者の権利を守る法律や制度作りに貢献できる人間になりたいです。
最後にキャロライン・ケネディー大使とも少しお話できました!
アメリカで行った研究についてケネディ大使にお話したところ、
「アメリカ大使館で協力できることがあったら何でも言ってくださいね」と優しい言葉をいただきました。
実は、アメリカ滞在中からすでに大変お世話になっていて、ワシントンD.C.で政府機関(国務省・労働省・雇用機会均等委員会)を取材できたのもアメリカ大使館のおかげなのです。
アメリカ大使館のサポートに心より感謝申し上げます。
日本に帰ってきて2週間が経ち、アメリカの人や環境がすでに恋しくなっていた私。
日本では車イスでのアクセスが不便だったり人の態度もまったく違うので、自分は弱い人間だなと感じてしまいます・・・
が、今回のレセプションで再びパワーをもらい、新しいステージに向かって頑張らねば!という気持ちになりました。
レセプション主催のキャロライン・ケネディ大使、アメリカの障害者の生活を大きく変えたトーマス・ハーキン元上院議員にお会いできたことはとても光栄なことであり、一生忘れられない思い出です。
本当にありがとうございました。